我々は、すでに『研究基盤(B)(2)08457426』、研究基盤(C)(2)13671657』、『若手研究(B)(16709918)』で3次元培養の研究を行っており、間質細胞が癌細胞株に増殖と分化度の増加に関与していることと検討した。さらに当科徳田が前立腺癌と脂肪細胞との3次元培養の結果、増殖分化度の増加に、さらに増殖因子との関係を明らかにした。平成19年度の中途報告では、ヒト前立腺癌cellineと前駆脂肪細胞を用いシグナル伝達異常について、検討した結果、液性因子作用と細胞接触作用が癌細胞増殖促進と細胞分化誘導に必要であると報告した。今回、脂肪細胞の宿主の問題もあり、倫理委員会の承認を得て、手術で得たヒト成熟脂肪細胞を用い、検討した。 1. コラーゲンゲルで前立腺細胞とヒト成熟細胞で、液性因子作用と接触因子作用を検討する条件で各種3次元培養を行った。ラット骨髄から得た前駆脂肪細胞から誘導した成熟脂肪細胞を用いた結果と同様に増殖促進と細胞分化を誘導した。 2. 上記で得られた癌細胞をゲルより分離し、蛋白、mRNAを抽出した。Westernblot法にて、蛋白活性を検討したところ、LNCaP細胞でPSGR2とIntegrineの蛋白活性が増強し、DU145ではIntegrineの蛋白活性が増強していた。 3. 現在、上記遺伝子についてmRNAlevelでの解析と行っている。 4. 今後、液性因子についてELISE法で解析を行う予定である。 5. 現在、PSGR2を導入した前立腺癌細胞を作成中である。
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