研究課題
われわれが以前構築した、浸潤性膀胱癌に対するM-VAC術前化学療法感受性予測システムは、膀胱癌患者のM-VAC療法感受性を高精度に予測可能であった。一方、腎盂・尿管腫瘍は膀胱癌と同様の尿路上皮よりなる腫瘍であり、その解剖学的な理由から膀胱癌よりも予後が不良とされる。われわれは尿管腫瘍に対しても予後改善効果を期待して術前化学療法を施行しているが、膀胱癌同様、その奏功率は50%程度である。そこで膀胱癌に対するM-VAC術前化学療法感受性予測法によって腎盂尿管癌のM-VAC療法感受性が予測か可能か、また腎盂尿管癌の網羅的な遺伝子発現プロファイルの検討により、腎盂尿管癌と膀胱癌の遺伝子発現の相違を検討すべく研究を行った。本年度は、腎盂尿管癌症例5症例において、その採取検体より得られたRNAを基にM-VAC化学療法の感受性が予測可能か検討した。すなわち、手術あるいは生検によって採取された腎盂尿管癌組織より、マイクロダイセクション法によって腫瘍細胞のみを選択的に採取し、腎盂尿管癌に特異的な遺伝子発現情報を取得。マイクロアレイおよびリアルタイムPCR法をもちいて発現検討を行った。得られた遺伝子発現情報より、感受性予測14遺伝子の発現情報に基づき感受性予測を予測。M-VAC療法の感受性と予測結果について検討した。その結果、膀胱癌と同様にその感受性を予測可能であることを発見した。すなわち、膀胱癌に対するM-VAC感受性予測法が腎盂尿管癌においても応用可能であることがわかり、腎盂尿管癌に対するオーダーメイド医療実現の可能性が示された。今後、さらに追加症例を用いて感受性予測を行うとともに、腎盂尿管癌に特有の遺伝子発現往路ファイルの解析をおこない、より正確な感受性予測法の確立を目指す予定である。
すべて 2007
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