研究課題
ヒト精子におけるSgによる膜ラフト構造への影響を明らかにするために、昨年度、精子全膜脂質の抽出が可能であるかどうか検討を行い、同様に抽出されることを確認したのを受けて、本年度はさらにガングリオシドGM1に対するSgの結合について検討を行った。本検討にはFar-western法を用いたがバックグラウンドが高く、更なる条件検討が必要である。また、別の分子間結合測定法である水晶発振子マイクロバランス法を用いた検討については本年度内に実施できなかった。免疫沈降法での検討では、膜タンパク質の抽出法について、一般的な膜タンパク質可溶化バッファーであるRIPAbufferの他に可溶化剤を変えて抽出の検討を行っているところである。また、膜構造への影響評価として膜電位に及ぼす影響についてフローサイトメーターと電位依存性蛍光色素を用いた検討も行った。Sgはswim-up処理したヒト精子膜を可逆的に過分極させた。このとき精子運動が抑制されていることも確認した。また、更に長時間のSgによる処理やSg高濃度での処理では精子の一部に脱分極がみられ、膜の透過性が変化してPI陽性になることが観察され、これは不可逆的であった。これらの結果よりswim-up処理後の精子に対してSgは膜構造を変化させその透過性を上げる働きがあることが示唆された。今後はこの現象と膜ラフト構造との関連についても検討する予定である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Cell Motil Cytoskeleton 66(2)
ページ: 99-108
Biol Reprod 79(6)
ページ: 1153-1159
Cell Mol Life Sci 65(21)
ページ: 3446-3457