研究概要 |
ゴナドトロピン刺激により引き起こされる、卵巣顆粒膜細胞内及び細胞間での変化について、実際の臨床症例より得られる細胞を用いて調べ、臨床所見との関連を検討していくことを目的としている。 顆粒膜細胞での遺伝子発現の状態を、症例毎にreal time PCR等を用いて定量し、臨床所見(成熟卵子の割合、受精率、回収卵子数、使用薬剤量等)を比較。その関連性につき検討を行い、最終的には、発現遺伝子のプロファイルを元にし、個々の症例の状態に最適なオーダーメイド治療を行う基礎としていく事が目標である。 実験に用いる試料は、生殖補助医療の顕微授精を行う際に、その副産物として得られる顆粒膜細胞を使用した。この細胞よりRNAを抽出し、RT-real time PCRを行う事により、RNAの定量を行った。今回の研究では、一治療周期における卵胞毎の反応性の差も検討に含めるべく、個々の卵胞から得られる顆粒膜細胞を区別し、RNAの抽出も、この1個の卵胞からの細胞毎に行ったため、非常に細胞の収量が少なく、RNAの量も微量となってしまった。今回標的では無い遺伝子(hGRP78)について行った同実験では、サンプルによっては結果を得ることができたが、それ以外(COX2, TSG6, HAS2, EGFR, amphiregulin, epiregulin, betacelulin, LHR)については、安定した結果を得ることができなかった。 今後は、個々の卵胞ではなく、一人の患者全体から得られる細胞を一つの単位とし、細胞及びRNAの収量増加をはかって、結果を得るべく実験の環境設定を行っていく予定である。
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