先行研究において、卵巣顆粒膜細胞におけるFSH刺激によるゴナドトロピン受容体発現がダイオキシン類の存在火に抑制されることが示された。本研究では、そのメカニズムを解明するため、卵巣顆粒膜細胞におけるダイオキシン類のシグナル伝達経路の解明を行った。ダイオキシン類の細胞内シグナル伝達経路として、細胞質のAh受容体に結合後、ARNTと腹合体を作り、核へ移行する伝達経路が知られており、卵巣顆粒膜細胞にも同様の経路が存在するか確認するため、以下の実験を行った。 21日齢Wistarラットに5日間DES処理し、顆粒膜細胞の初代培養を行った。この培養系にmycエピトープAH受容体(以下myc-AhR)とFLAGエピトープARNT(以下FLAG-ARNT)の遺伝子導入をすることで、細胞内シグナル伝達に関与する蛋白の同定を試みたが、リポフェクション法、CaCl_2法などでの複数の方法で、いずれの方法をもっても遺伝子導入は低く、免疫沈降実験によるタンパク質結合や共焦点顕微鏡による細胞内局在の検討を行うのに十分な遺伝子導入は得られなかった。 ヒト顆粒膜細胞株であるKGN細胞においても遺伝子導入を試みたが、ラット顆粒膜細胞と同様に導入効率が著しく低く、免疫沈降実験や共焦点顕微鏡での検討に必要な発現レベルに至らなかった。 今後、遺伝子導入効率を高めるべく、遺伝子導入の方法の再検討やエピトープタグの種類や挿入位置を変えたコンストラクトの作成することでの導入効率の改善を検討している。
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