子宮筋腫は性成熟期に好発する良性腫瘍であるが、過多月経や月経困難症の原因となることが多い。progesterone(P4)の直接作用を調べたところ筋腫発育に対して促進的に働く作用が主体であることを認めた。そのため、selective progesterone receptor modulator(SPRM)は子宮筋腫発育に対して抑制的に働く可能性が推察され、この度、提供を受けたprogesteron eantagonist作用を有するCDB-2914とmixed agonist/antagonist作用を有するJ867(asoprisni1)を子宮筋腫細胞の無血清培地培養系に種々の濃度で添加し、48時間後の各種タンパク発現についてPanorama Ab Microarray XP 725を用いて解析をおこなった。無血清培養系でCDB-2914とJ867は子宮筋腫細胞の増殖能を抑制し、TRAILによるapoptosisにかかわるDR4の発現を誘導する一方、Caspaseを介したapoptosis pathwayには影響を与えず、DRAK-1やZip-kinaseを抑制することがわかった。これらの薬剤の作用が培養子宮筋腫細胞と正常子宮平滑筋細胞で異なる機序については依然不明である。今後SPRMが子宮筋腫細胞と正常子宮平滑筋細胞におけるcoactivatorとcorepressor発現に及ぼす作用の違いやP4-regulated early genesに及ぼす作用の違いをさらに検討する予定である。
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