研究概要 |
(1)臍帯異常のリスク分析a)子宮内胎児死亡(IUFD)、b)子宮内胎児発育遅延(FGR)、c)Non-reassuring fetal status(NRFS)との関連。(2)臍帯異常の診断と管理a)臍帯過捻転(HCC)におけるハイリスク群抽出。b)臍帯卵膜付着(VCI)におけるハイリスク群抽出。c)妊娠初期の臍帯付着部位(CI)の評価によるハイリスク群の抽出。d)臍帯異常症例における分娩時胎児心拍数パターンの検討。【成績】(1)a)IUFDの原因は、臍帯異常45%、胎盤異常16%。b)FGRのリスク因子とオッズ比(95%信頼区間)は、喫煙1.7(1.1-2.7)、VCI4.0(1.6-9.6)、辺縁付着2.3(1.3-4.0)、HCC4.2(2.5-7.0)、PIH(P)9.2(2.8-19.7)、PIH(H)4.4(1.7-11.5)であった。c)緊急帝切の原因は臍帯異常が多く、付着部異常とHCCが多かった。(2)a)IUFD 2症例は、臍輪部が著しく狭小化していた。b)(1)NRFSと緊急帝切の頻度はVCIに高い。中でも子宮上中部付着vs子宮下部1/3付着で比較すると下部付着が高かった。(2)VCIは1.2%に存在し、妊娠中期の診断では、特異度100%、感度は62.5%と低かった。(3)全分娩の0.1%に前置血管を認め、その88.9%は子宮下部のCIであった。 c) (1)初期のCIを正常、下部と診断し、低置胎盤の出現頻度は、初期の正常CI及び下部CI群で0%,23%であった。(3)胎盤構造異常、臍帯異常の出現頻度は、下部CI群に有意に高かった。3)初期の下部CI群での緊急帝切率は、正常CI群と比べ高かった。d)(1)VCIとHCCは、分娩1期では、全一過性徐脈の出現頻度が高かったが、分娩2期では有意差が無かった。【結論】1)初期の下部CIはハイリスクとする。2)下部のVCIは前置血管と同様に扱う。3)臍輪部が細く静脈血流速度が速いHCCをハイリスクとする。4)繰り返すatypicalVDの出現には注意を注ぐ。
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