研究概要 |
本研究は受精卵が発生する段階におけるメチル化状態の変化について影響を与える因子について、また形態学的な変化とメチル化状態の変化の相関の有無について検討するものである。初期胚での検討においてはいくつかの発生にかかわる遺伝子領域についての解析を試みているが、現段階で明らかな差異を示唆するメチル化状態の変化は認められていない。しかしこれまでに得られた胚の数には限りがあり、特にVeeck分類(Veecketal.,1983)での良いグレードの受精卵を短期間に得ることは困難であることから今後も解析数を増やし検討を継続していきたいと考えている。さらに妊娠帰結における胎児付属物のメチル化状態の差についても検討を試みており、胎盤においてPGF(Placenta Growth Factor)のCpG領域におけるメチル化状態について解析した。全ての分娩症例を妊娠方法(自然妊娠・人工授精・体外受精のグループ)、また妊娠に伴う合併症等(妊娠高血圧・糖尿病・喫煙等のグループ)に分け、メチル化状態を比較した。それぞれの群においての決定的な相違は認めていないものの、メチル化状態は均一ではなくその原因についてその他の遺伝子領域についても考慮しさらに検討を続けたいと考える。妊娠の各段階で受ける影響が発生における固体のメチル化状態に変化を与えており、それが妊娠帰結に反映されていることが示唆されるためこれらの影響について検討し臨床にフィードバックさせたいと考える。
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