非症候群性難聴の原因遺伝子として最も高頻度に変異がみられるGJB2(ギャップジャンクションβ2)について、われわれの382家系の研究成果によって、日本人における遺伝子型の頻度、および表現型-遺伝型の関係を明らかにした。症例の内訳は、性別が女性235例、男性147例で年齢は0-84歳で、平均が40.22±18.83歳であった。その結果、GJB2による難聴は言語習得前難聴の18.6%、先天性難聴の28%、常染色体劣性遺伝形式の非症候群性難聴の26.1%を占めることが判明した。遺伝子型では、235delCが52.6%と約半数を占め、G45E、Y136X、V37I、R143Wなどが確認された。表現型-遺伝型の関係では、235delCのホモ接合では高度~重度難聴を呈すること、非短縮型変異め組み合わせでは中等度難聴を示すことを明らかにした。また、聴力型は遺伝型と無関係であった。一方、GJB6はコネキシン30をコードしており成熟した内耳ではコネキシシ26と30が多く存在していることが報告されている。コネキシン26と30はヘテロメリックなコネクソンを形成し、チャネルもさまざまな組み合わせで形成される。われわれは、家族性難聴もしくは原因不明の両側性感音難聴を示し、研究協力が得られる約650症例から採取したDNAのGJB2の翻訳領域における変異の有無を直接シーケンス法により検索し、数十例にヘテロ接合のGJB2変異者を確認している。たが、GJB2とGJB6を含む欠失によるDFNB1複合遺伝子座の変異は検出できなかった。従って、日本人においては本変異は少ないものと考えられた。
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