研究の目的 頭頚部癌はその90%近くが扁平上皮癌であり放射線療法、化学療法も比較的効果的であるが、進行癌においてはその治療成績もあまり良くなく、また頭頚部という部位は術後の機能上、審美上の問題も重要である。そのような現状で新たな治療法として注目されている免疫療法を取り上げ、まずその第一歩としてSEREX法という新しい方法を用いて、頭頚部扁平上皮癌関連抗原であるMelk(Maternal embryonic leucine zipper kinase)を同定した。Melkの頭頚部癌における発現様式や予後などとの関連について免疫組織学的に検討し、癌細胞における機能についてもあきらかにしたい。 本年度(〜平成20年3月31日)の研究実施 Melkの遺伝子導入癌細胞株を作製中。遺伝子導入株については再現性を確実にするため、薬剤耐性遺伝子を含むプラスミドベクターにMelk遺伝子を組み込んだものを作製した。現在それを通常の培養条件の他、無血清、高温、紫外線照射などのストレス条件下でも培養し、細胞増殖やアポトーシスについて検討している。 頭頚部扁平上皮癌の病理標本を使用してMelkの免疫染色を行い、発現様式などを検討中。舌癌や喉頭癌などで発現していることを確認し、予後などとの関連について解析中。
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