1、本研究は、痙攣性発声障害の症状出現メカニズム解明の研究である。 (1) イヌ摘出喉頭における痙攣性発声障害モデルの作成と声帯振動様式の検討 イヌ(生後6ケ月)を用い、全身麻酔を行った後に喉頭を摘出し吹鳴箱を用いて吹鳴を行った。最適な吹鳴条件を確定した後に声帯振動の確認するために、ストロボ光照明下に声帯振動をビデオ画像記録装置に記録し、同時に吹鳴音を録音した。吹鳴音からピッチと振幅の揺らぎ、HN比の測定が可能であった。声帯振動をフレームごとに解析し、規則性、声門閉鎖時間と声門開大時間の関係を解析する予定であったが、現在のストロボスコープ装置では、詳細な解析が困難であった。そのため新たな声帯振動解析装置を平成20年度に導入した後に検討予定である。 (2) in Vivo痙攣性発声障害モデルの作成 イヌ(生後6ヶ月)を用い、静脈麻酔下に気管切開を行い気道確保後、全身麻酔に切り替えて甲状軟骨を露出して両側反回神経を明視化におき電気刺激と喉頭を吹鳴させる予定であったが、イヌ摘出喉頭における電気刺激条件の設定に難渋しin Vivoモデルへの導入ができていない。しかしながら全身麻酔下にイヌの声帯の詳細な観察、ストロボスコープによる声帯振動の評価には成功した。また吹鳴時の音声は、ストロボスコープや機器、吹鳴装置によるノイズが大きいため、現有備品を用いた解析ができなかった。平成20年度はin Vivoで電気刺激の設定条件を決定し、痙攣性発声障害モデル作成する。また集音マイクの工夫や、ノイズ発生が少ない声帯振動解析装置導入により音響解析が可能となる予定である。
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