研究課題
樹状細胞の増殖因子であるFlt3 ligandをコードしたプラスミド(pFL)並びにCpG配列を含んだオリゴデオキシ核酸(CpGODN)はいずれも粘膜アジュバント活性を持つことがわかっている。これらのDNAアジュバントを同時併用する複合DNAアジュバントとして、抗原(卵白アルブミン : OVA)と共にBALB/Cマウスへ経鼻投与すると、各DNAアジュバントを単独使用した場合と比較してより強力な上気道粘膜での抗原特異的免疫グロブリン(分泌型IgA)産生及び血中における抗原特異的免疫グロブリン(IgG)産生が得られた。これらのマウスを経時的に観察すると、初回投与から27週目まで粘膜及び全身免疫応答が持続した。興味深いことに経鼻免疫にかかわる臓器からは遠隔部位にある膣からの分泌液においても、分泌型IgA産生上昇が長期間にわたって持続することがわかった。以上の結果を元に、複合DNAアジュバントと既知の強力な粘膜アジュバントであるコレラトキシン(CT)との比較を行った。老齢マウス(2年齢)を用いて、OVA抗原と各アジュバントからなるワクチンにて経鼻免疫を行い、全身性免疫及び粘膜免疫応答を測定した。その結果、CTでは全身性免疫のみ上昇し粘膜免疫応答は得られなかったのに対して、複合DNAアジュバント使用群では全身性免疫及び粘膜免疫の有意な上昇を認めた。以上の結果より、複合DNAアジュバントは老化による免疫応答の低下があっても有効な免疫応答を生み出すことがわかり、高齢者に対するワクチン開発に大きく寄与することが示唆された。
すべて 2008
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耳鼻咽喉科展望 51
ページ: 39-42
Vaccine 26
ページ: 4849-4859