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2008 年度 実績報告書

ヒト鼻粘膜上皮のM細胞の同定と分化誘導 : DDSの新しい標的として

研究課題

研究課題/領域番号 19791218
研究機関札幌医科大学

研究代表者

郷 充  札幌医科大学, 医学部, 助教 (80448604)

キーワードアレルギー / 病理学 / タイト結合 / 鼻粘膜
研究概要

我々はこれまで, アレルギー性鼻炎においては, 発達したタイト結合による上皮バリア機能を有し, 抗原提示細胞であるCD11c陽性樹状細胞が上皮と同様のタイト結合分子を発現し内腔に樹状突起を伸ばしている現象を世界に先駆けて報告してきた. 一方でヒト咽頭扁桃(adenoid)上皮は, 発達したタイト結合による上皮バリア機能を有し, 外来病原体に対する生体防御の役割を担っていることが考えられる. そこで, 我々Dcytokeratin 20(Ck20)をマーカーとして,ヒト咽頭扁桃(adenoid)におけるM細胞の同定をし, in vivoおよびin vitroでのタイト結合蛋白の発現を調べた. ヒト咽頭扁桃(adenoid)および, その初代培養細胞では, occludin, JAMA, ZO-1, claudin-1, -4, -7, -8のmRNA発現が認められ, 培養細胞においてはclaudin-2, -9のmRNA発現もみられた. ヒト咽頭扁桃(adenoid)組織においては, Ck7陽性細胞がほとんどの細胞に存在していたのに比べ, Ck20陽性細胞はいくつかのランダムに存在し, ポケット状の構造を示していた. 透過型電子顕微鏡を用いてヒト咽頭扁桃(adenoid)組織を観察すると, 短い微絨毛をもったM細胞様の細胞内にCk20で標識された金粒子が同定され, さらにポケット様構造の内部にはリンパ球を取り込んでいる像が確認された. また, ヒトadenoid培養細胞においても, Ck20陽性細胞が蛍光標識した微粒子を取り込む機能があることが確認された.
さらに, ヒトadenoid組織および培養細胞におけるCk20陽性細胞は, 周囲の上皮同様, タイト結合蛋白であるoccludin, ZO-1, claudin-1, -7を細胞境界領域に発現していることを観察した. これらの結果はヒト咽頭扁桃(adenoid)において, Ck20陽性のM細胞を含めた上皮におけるタイト結合が抗原認識および生体防御の両面で深く関与していることを示している.
これらのヒト咽頭扁桃のCk20陽性のM細胞を指標にして, 今後ヒト鼻粘膜組織および培養鼻粘膜上皮細胞を用いて, TSLPおよびPPAR-γリガンドなどによるタイト結合のバリア機能調節をターゲットとして, 樹状細胞の抗原提示と上皮のバリア機能との関係も踏まえて, アレルギー性鼻炎の新しい治療のための基礎研究を行う予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 粘膜のバリアと抗原サンプリング-鼻粘膜を介した新たな治療戦略にむけて-2008

    • 著者名/発表者名
      郷充
    • 雑誌名

      耳鼻咽喉科展望 51 : 補1

      ページ: 32-38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PKC enhances tight junction barrier function of human nasal epithelial cells in primary culture by transcriptional regulation2008

    • 著者名/発表者名
      Koizumi J
    • 雑誌名

      Mol Pharmacol 74(1)

      ページ: 432-442

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of tight junction proteins in epithelium including Ck20-pos itive M-like cells of human adenoids in vivo and in vitro2008

    • 著者名/発表者名
      Takano K
    • 雑誌名

      J Mol Histol 39(3)

      ページ: 265-273

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of thymic stromal lymphopoietin (TSLP) in allergic rhinitis : Induction of tight junction proteins in nasal epithelial cells and dendritic cells by epithelial-derived TSLP2008

    • 著者名/発表者名
      Kamekura R
    • 雑誌名

      Inflammation and Regeneration 28(3)

      ページ: 160-165

    • 査読あり
  • [学会発表] 核内受容体PPARγを介したアレルギー性鼻炎の予防・治療のための基礎研究2008

    • 著者名/発表者名
      小笠原徳子
    • 学会等名
      第29回日本炎症・再生医学会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2008-07-09
  • [学会発表] ヒトアデノイドのCk20陽性M細胞におけるタイト結合タンパクの発現2008

    • 著者名/発表者名
      高野賢一
    • 学会等名
      第109回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
    • 発表場所
      大阪府
    • 年月日
      2008-05-16

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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