研究概要 |
小児中耳炎に高頻度に関与すると考えられている新種細菌アロイオコッカスに対する宿主免疫応答を解析した結果,患者の中耳貯留液中に同細菌に対する抗体が数種存在しており,細菌が感染し局所免疫応答が誘導されていることが明らかになった(Harimaya et al.FEMS Immunol Med Microbiol 2007, Harimaya et al.投稿中).これは同細菌が実際にヒトに対して病原性を有している事を示唆する初めての報告である。 また,in vitroでのアロイオコッカスに対する免疫応答を解析した結果,アロイオコッカスはヒトリンパ球細胞株においてIL-8産生を誘導し,その産生はNF-kappaB pathway,p38MAPK pathway,およびERK1/2 pathwayの数種のシグナル伝達経路を介して行われている事が判明した(Harimaya et al.Int Jpediatr Otorhinolarygol 2007).同細菌に関してこれらのシグナル伝達経路に関する解析は初めての報告である。 これらの結果により,アロイオコッカスに対しての宿主免疫応答の解明が進んできており,今後はこれらの結果を踏まえて同細菌に対するワクチン開発や診断技術,治療技術の進歩入の基盤作りを次年度で行いたいと考えている。
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