1 声帯萎縮モデルにおけるエレクトロポレーションによる遺伝子導入効果の検討。 まず、コントロールとして蛍光タンパクであるEGFP(enhanced green fluorescent protein)をコードする遺伝子と、神経栄養因子であるHGF遺伝子を、声帯萎縮モデルラットの喉頭筋にそれぞれ注射のみ及びエレクトロポレーションにて導入した。1週後、4週後に喉頭筋の体積を評価したが、両者に有意差を認めなかった。次に導入する治療遺伝子として、IGF(insulin-like growth factor)を用いて同様の実験を行った。IGFについては、マウス骨格筋細胞C2C12、ラット骨格筋細胞L6を用いた予備実験において、IGF刺激後、光顕上にて筋管形成、細胞免疫染色、Westernblottingにて分化指標となるMyHC(myosin heavy chain)およびmyogeninが経時的に刺激依存的に分化することを確認した。しかし結果はHGF同様、コントロール群と有意な差を認めなかった。 2 声帯瘢痕モデルにおけるエレクトロポレーションによる遺伝子導入効果の検討。 上記と同様に、声帯瘢痕モデルラットの声帯粘膜下に、コントロール、HGF遺伝子、bFGF遺伝子、EGF遺伝子、KGF遺伝子をそれぞれ注射し、エレクトロポレーションによる瘢痕治癒過程の改善効果について検討したが、やはり両者に有意差を認めなかった。
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