ストレスの客観的評価、遺伝子多型解析を耳鼻咽喉科テーラーメイド医療へ応用するために研究を行った。 患者の遺伝的な素因がストレスによる患者固有の身体反応を出現させている可能性があるためストレスの客観的評価が必要である。またストレス疾患に用いられる代表的薬剤であるSSRI (Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)は神経終末においてセロトニンの再取り込みを阻害する薬剤である。本剤の主要標的物質であるセロトニントランスポーター(5-HTT)遺伝子多型はうつ病においてSSRIの治療効果との関連が報告されている。本薬剤は患者個々により治療効果が異なる。はじめに耳鼻咽喉科ストレス疾患患者に対する薬物療法としてSSRIを使用し、非薬物治療として認知行動療法、自律訓練法を行いその効果について検討した。ストレス評価は唾液中アミラーゼを定量して急性ストレスの指標とし治療による症状の改善とストレスレベルの改善について検討した。また耳鼻咽喉科における心身症症例について検討しその特徴、主訴の割合や行った治療内容について統計学的検討を行った。耳鼻咽喉科において心身症の診察頻度が高いことから心療耳鼻咽喉科医の必要性について検討を行った。セロトニン代謝障害で引き起こされていると考えられる片頭痛めまいについてその臨床的特徴、治療法、特に薬物治療効果について報告した。さらに最近増加している高齢者のメニエール病とストレスの関連について検討した。耳鼻咽喉科心身症の一つである機能性発声障害については心理療法の有効性を報告した。ストレスと聴平衡覚器殿関連についてこれまでの研究成果を総説にまとめた。
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