研究概要 |
HLA-A24陽性頭頸部癌患者10例、健常人3名より血清、下咽頭、喉頭の腫瘍周囲の粘液(唾液、咽頭ぬぐい)を採取して抗SCCAペプチド抗体(IgA、IgG)を測定した。測定法には、ELISA法を用いた。健常人と比較して、癌患者はIgA, IgGの抗SCCAペプチド抗体価が高い傾向にあった。このことは頭頸部癌患者の腫瘍局所でペプチド特異的抗体反応が生じているのではと考えた。またペプチドを腫瘍局所に注入ペプチドを注入することでアルサス反応を惹起することができるのではないかと考えている。IgA、IgGの抗SCCAペプチド抗体価が高い患者の末梢血単核球をペプチドで刺激するとCTL誘導能が優れていることが判明した。ワクチンを投与した患者様のCTLの活性をモニタリングするのは困難であるが、この結果により抗体価を測定することで、実際患者に投与した際のペプチド反応性を予測できるのではないかと考えた。手術により採取した腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球を取り出すことは可能であったが、これを増殖させることは困難であり、腫瘍浸潤リンパ球からペプチド特異的CTLを誘導することはできていない。腫瘍浸潤リンパ球にペプチド特異性が確認できれば、OK-432を腫瘍局所に注入に全身のCTLを局所に集め、またペプチドと局所に投与することで抗腫瘍効果が高まると考えた。そのため末梢血レベルでのCTL活性と局所レベルでのCTL活性の比較検討は今後の課題である。
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