目的 : AMDと類似した網膜変性を示すアルツハイマーモデルマウスを用いて、4-HNEの網膜内での増加について検討する。 本年度に実施した研究の成果 : (A) : 本年度も、β-アミロイド前駆タンパク質(APP)を発現させることにより脳内にβ-アミロイドを増加させてアルツハイマー病を起こすトランスジェニックマウス(APP(+)/B6SJL)を用い、検討を行った。APP(+)/B6SJLマウスの網膜組織の評価を行い、加齢黄斑変性様の障害を起こしているかを免疫染色により調べた。その結果、脳内に僅かなβ-アミロイドの蓄積が見られるが、網膜では僅かに検出されるに留まった。 APP(+)/B6SJLマウスでは、正常の同系統マウスと比較して、視細胞の減少が僅かに見られたが、正常マウスと比較して、網膜の組織に大きな変化は見られなかった。 (B) : 高週齢のFischer344ラットは加齢性の網膜変性を引き起こすことが報告されている。正常な加齢モデル(正常加齢モデル)として、高週齢のFischer344ラットを用い、網膜組織像及び4-HNEの蓄積について調べた。この結果、1年6ヶ月齢以上の個体においてリポフスチン様物質の顕著な蓄積と、視細胞変性が見られる個体があった。また4-HNEが網膜で検出された個体があった。 以上の結果から、アルツハイマー病において、網膜に4-HNEの蓄積を起こさない事が分かった。また、加齢においては4-HNEの蓄積を起こすケースもあるが、加齢との直接的な関係を見出すには、更なる検討が必要である。
|