研究課題
波長操作型および偏光感受型前眼部光干渉断層計を用いて、緑内障に対する線維柱帯切除術後眼の形態的、偏光特性の評価を行った。当初は実験動物として兎を使用し、その手術成績や手術時に使用する薬剤を検討予定であったが、人眼に対する光干渉断層計使用が筑波大学倫理委員会で承認されたため、人眼での検討を行った。隅角後退(Acta Ophthalmologica Scandinavica)や角膜変性疾患(Cornea)に関して臨床応用し、論文報告を行った。緑内障眼の評価のみならず、正常眼における生体計測も行い、他の光学式、超音波式による計測結果と光干渉断層計による測定結果に良好な相関があることを示した(論文投稿予定)。3次元解析が可能であるため病変の特定を容易に行い、さらに、容積評価も可能であった。線維柱帯切除術を施行し、.術後経過良好な症例では、眼内組織からのバイパス路のプールであるろ過胞内部水隙が大きく、また、ろ過胞壁が厚く、低反射の組織を含んでいることが明らかとなった(論本投稿予定)。偏光特性に着目すると、術後経過が長い症例ほど、また、術後経過不良な症例ほど、偏光特性が変化していることが明らかとなった。以上の知見は、緑内障手術後成績の向上を目指す上での基礎的なデータとなる。今後の術式の改善に有益な情報である。すなわち、現在日本における失明率1位である緑内障による失明の抑制につながりうる。また、正常眼のデータにより光干渉断層計測定の信頼性が明らかとなった。今後の課題として、どのような術式でどのような手術補助品を使用すれば、良好な予後につながるかを特定するということが拳げられる。さらに、緑内障手術のみに限定せず、他の前眼部手術に対する応用も考えられる。
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Acta Ophthalmologica Scandinavica 85
ページ: 684-685
Cornea 26
ページ: 373-374