平成20年度は昨年度に引き続き磁性微粒子を用いた細胞への遺伝子導入の技術(Magnetofection)によりin vitroで培養細胞に遺伝子を導入し、詳細な条件設定をおこなった後にin vitroで神経節細胞、網膜色素上皮(RPE)への遺伝子導入実験を行った。サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーターにより緑色蛍光タンパク(GFP)遺伝子を発現するプラスミドと磁性微粒子を内包するリポソームを名古屋大学大学院工学研究科の協力により作成した。このリポソーム1マイクロリットルをマイクロインジェクターを用いて、白色マウスの硝子体腔、あるいは網膜下に投与した。最も高い遺伝子導入効率を得るための磁性微粒子、DNAの濃度、磁力、磁石の設置時間などの条件設定をおこない、磁石設置部位のRPEへの遺伝子導入が可能であることを確認した。またコントロールとして磁石を設置せずにリポソームを投与したが、こちらはRPEでの遺伝子発現はみられなかった。白色マウスへの硝子体投与による神経節細胞への遺伝子導入が可能であるかを確認したが、こちらは今のところ遺伝子発現は得られていない。硝子体投与による遺伝子導入を実現するために、マウス眼においてプラスミンによる後部硝子体剥離の作成後のリポソーム硝子体投与をおこなっており、また大型動物において内境界膜剥離施行後に硝子体投与をすべく、大型動物への硝子体投与の基礎実験を行った。
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