研究概要 |
In Vitro系において,網膜神経節細胞(RGC)および網膜ミュラー細胞の継体培養可能株であるRGC-5とrMC-1を使用している.RGCのアポトーシスに対するミュラー細胞介在の効果を検討した.RGC-5とrMC-1をインサーターを用いて共培養する実験系を用い.グルタミン酸(2mM)を負荷することでRGC-5の細胞死を誘導,rMC-1の存在の有無によるRGC-5細胞の変化を調べた.rMC-1存在下では,トルイジンブルー染色にて有意に細胞数が上昇した.また,RGC-5caspase-3による免疫染色の結果,rMC-1存在下でcaspase-3陽性細胞が減少した(p<0.05).これらの結果から,rMC-1はRGC-5へのグルタミン酸ストレレスに保護的に作用することが証明された. 培養液中のグルタミン酸濃度を調べたところ,rMC-1存在下では有意にグルタミン酸濃度が低かった.GLAST(EAAT-1)はミュラー細胞に存在するグルタミン酸トランスポーターであり,rMC-1にも発現していることを免疫染色ならびにウエスタンブロット法で確認した.GLAST阻害剤を共培養系に同時に投与したところ,rMC-1の保護効果が有意に打ち消された.以上の結果,Rmc-1がグルタミン酸を取り込むことでRGC-5細胞死が減少したと考えられる.現在はGLASTに対すsiRNAをRmc-1に行い,その変化を検討中である. 上記実験系において使用した,過剰なグルタミン酸負荷は脳梗塞やアルツハイマー病などにおいても神経細胞死を誘導する一つのトリガーであるとされる.眼内では緑内障や網膜虚血でその関連が示唆されている.網膜神経細胞死にグリア細胞であるミュラー細胞が密接に関与することが示唆された.
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