研究概要 |
緑内障眼や各種視神経症において, 網膜神経節細胞(RGC)の神経保護治療の重要性が高まっている. RGC死には網膜グリア細胞も関与している. 継体培養可能なミュラー細胞(rMC-1)とRGC-5を共培養した系を確立した. その系において, 緑内障の発症因子のひとつであるグルタミン酸負荷をRGCに行い, ミュラー細胞が保護的に働くことを証明した. さらに, 阻害剤を用いた実験から, ミュラー細胞に存在するグルタミン酸トランスポーターであるGLAST(EAAT-1)がから関与していることが示唆された. 免疫染色によりGLASTがrMC-1に発現していることを確認した. さらに, rMC-1のGLASTに対し, siRNAによるノックダウンを試みたが充分な導入効率を得ることができなかった. また, RGC-5を用い, 緑内障点眼剤として臨床使用されているラタノプロスト(LP), ならびに治験中のタフルプロスト(TP)の神経保護効果作用について検討した. In vivoの系では両者の活性体を用い, 無血清培地によるRGC-5細胞死を一定の濃度で抑制した. また, グルタミン酸負荷による細胞内カルシウム上昇を抑制した. さらにこれら点眼薬の効果をin vivoで検討した. 視神経を挫滅したラットではアポトーシスによるRGC死が起こる. このラットに対し, LPないしはTPを毎日点眼し, 逆行性標識されたRGC細胞数と網膜伸展展標本におけるTUNEL染色陽性細胞を検討した. LP, TPともに点眼によるRGC細胞抑制効果をもつことが示唆された.
|