研究概要 |
1.Wholemount法を用いた角膜実質細胞Connexin43(Cx43)の発現の解析 角膜実質細胞は角膜組織内では星状〜樹状の形態を有しているが培養系におかれると紡錘状の形態に変化するため,角膜組織内での形態評価が必要になる。Wholemount法で角膜を組織として染色することにより,生体における角膜実質細胞の評価が可能となる。様々な条件設定の上で,正常ラット角膜実質細胞の細胞突起にCx43が発現していることを示すことに成功した。角膜実質細胞密度の高い実質浅層ではCx43の発現量が顕著であった。 2.創傷治癒過程における角膜実質の生体反応の3次元的解析 Wholemount法で角膜実質細胞の形態およびCx43の発現を検出することが可能であることが示されたので,角膜実質に創傷を作成しその治癒過程での角膜実質細胞の動態および活性化,炎症性細胞の浸潤を検討した。創傷作成後既報の通り角膜実質細胞はアポトーシスに至り,創傷周囲の細胞は消失した(無細胞領域)創傷作成後1日目にはactin-richな線維芽細胞様の細胞が周辺部および創傷部位より無細胞領域に伸展している像が観察された。それらの細胞にもCx43が発現していた。また,創傷作成後3時間頃よりCD45陽性の球状細胞の集簇を認めた。また,創傷作成後5日頃より,αsma陽性細胞の出現が観察された。角膜実質の創傷治癒過程では,創傷治癒にあたる線維芽細胞/角膜実質細胞が,Gap junctionを維持しながら角膜実質の創傷治癒に関与していることが推測された。
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