ヒト培養角膜上皮細胞(HCEs)の免疫機構に及ぼすステロイド薬の影響 HCEsをsub confluentまで培養した後、HSV臨床分離株を感染させ、mRNAを抽出しTLR3、および、その下流に産生される炎症性サイトカイン、IL6、IL8のmRNA発現をreal time PCRを用いて解析を行ったところ、各mRNAの発現は有意に増加し、培養角膜上皮細胞でHSV臨床株によってTLR3を介した作動が起こっていることが確認された。また、実際にステロイド薬を添加することによりHSV臨床分離株の感染性に変化が生じるのかを検討した。培養ヒト角膜上皮細胞にデキサメサゾン(Dex)10^<-5>Mを先行投与し、24時間後にHSV臨床分離株を播種した。48時間後にクリスタルバイオレット染色を行い、画像解析ソフトを用いてプラーク面積(HSV感染面積)を解析した。また培養上清中のHSV-DNAコピー数をReal time PCRを用いて測定したところ、ステロイド添加群において、感染プラーク面積は増加し、また、上清中のHSV-DNAコピー数も増加しており、HSV感染性がステロイドによって増大していることが確認された。また、各種サイトカイン、TLR3の発現についても検討したところ、ステロイド添加群ではTLR3、炎症性サイトカインの発現が低下しており、TLR3の作動低下がHSV感染性の増大に関与している可能性があると考えられた。
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