アンジオテンシンII(Ang II)受容体サブタイプの網膜神経節細胞のアポトーシスに対する役割を明らかにするため、昨年度より実験を開始した。昨年度は、野生型マウスを用いて網膜視神経節細胞障害モデルを作成を試み、硝子体腔内にNMDA(N-methyl-D-aspartic acid)を注入することによって網膜神経節細胞のアポトーシスを惹起させることが可能であることを確認した。今年度はこのマウスモデルを用いて実験を開始した。しかしながら、実験を進めるにしたがい、今回作製したモデルの結果の再現性に問題があることが明らかになった。つまり同週齢のマウスに、同量のNMDAを眼内に注入しても、引き起こされる神経節細胞死の細胞数に大きなバラつきが生じることが判明したため、実験手技の見直しを余儀なくされた。検討を重ねたところ、眼内注射に用いている針の口径がやや大きく、かつ、再利用を重ねるうちに切れが悪くなり、注射後に注入液が結膜下腔に漏出していることが判明した。これを解決するために、実験器具を更新し、手技を改善したところ、ほぼ再現性良好なモデルが作成可能となり得た。来年度は今回の改善された実験手技により、実際にAng II受容体ノックアウトマウスを用いた実験に用いて実験を行う予定である。
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