ヒト角膜内皮細胞(HCEC)を培養し、HSV-1の直接感染に対するHCECの感受性を検討した。HCECと、対象としてCV-1細胞を用いた。HSV-1(McKrae株)を5multiplicities of infection(MOI)と10^<-4>MOIの濃度で感染させ各細胞に対するHSV-1の吸着力とウイルスの複製量を評価した。また各細胞のconfluent monolayerにHSV-1を10^<-4>MOIの濃度で感染させ、ウイルスの拡がりの様相を顕微鏡学的に比較した。その結果HCECにおいては、HSV産生量が多く、視覚的にもウイルス感染の広がりはより急速であることを確認した。一方、ウイルス感染などにおいて角膜にダメージが生じた際に引き起こされる病態に角膜潰瘍がある。次に角膜の創傷治癒について検討するため、組織の線維化に関与するとされているconnective tissue growth factorに着目し、角膜実質細胞におけるその発現や役割について検討した。その結果を以下に示す。培養角膜実質細胞ではCTGFの産生量はTGF-βの濃度依存性に増加した。またCTGFはTGR-βの存在下で角膜実質細胞におけるフィブロネクチン蛋白の産生を増大させたが、単独では影響を与えなかった。α-SMAの産生および、コラーゲンゲルの収縮に対してはTGF-βの刺激の有無に関わらず影響を与えなかった。今回の検討では、CTGFはextracellular matrixであるフィブロネクチンの産生を増強させたが、多数報告されているα-SMAの産生については関与を示唆する結果は認めなかった。
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