HSV-1再活性時の三叉神経におけるケモカイン動態変化の検討 ケモカインの検討をする前に、HSV-1潜伏感染時の三叉神経への浸潤細胞の検討をする事とした。浸潤している免疫細胞をある程度限定することにより、三叉神経内で分泌されるサイトカインもある程度限定することが出来ると考えられる。数ある免疫担当細胞のなかで、本研究では制御性T細胞(regulatory T cells)にターゲットを絞って解析を行った。制御性T細胞は「免疫応答を抑制する機能をもち、免疫寛容を担うT細胞」と定義することが出来る。近年、制御性T細胞は自己免疫のみならず、アレルギー、炎症、移植片拒絶、感染免疫、腫瘍免疫等のほとんどあらゆる種類の免疫反応を抑制する能力を持つことが示され、免疫系の恒常性維持に重要な役割を担っていることがわかってきた。制御性T細胞はCD25分子を発現するCD4陽性T細胞で、転写因子Foxp3がこの細胞群の特異的マーカーである。 HSV-1潜伏感染マウスに、ウイルス再活性化(heat shockストレス(42℃、10分))刺激を加え、ストレスを加えない群との三叉神経内の免疫担当浸潤細胞数の差を比較検討する実験を行った。三叉神経採取時に神経線維が切断されることにより、神経細胞はアポトーシスにより死滅する。採取した三叉神経節組織を酵素反応によりsingle cellを浮遊液にし、死細胞以外の細胞を磁気ビーズを用いてnegative selectionした。得られた細胞をフローサイトメトリーを用いて、CD4陽性、 CD25陽性の細胞群をカウントした。残念ながら、各群の比較を出来るのに十分な細胞が得られず、三叉神経細胞から直接的に免疫細胞を採取する方法は解析方法としては適さなかった。
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