外傷、悪性腫瘍切除後などに生じた鞍鼻変形に対して、しばしば自家肋軟骨を用いた隆鼻術が行われるが、術後移植肋軟骨が彎曲変形をきたす症例が散見された。もし、移植肋軟骨の彎曲の原因、およびそのメカニズムが解明されれば、逆説的に彎曲変形をきたさないようにするための予防策についてのヒントが分かるのではないかと考えた。家兎の肋軟骨を採取し、鼻背部皮下に移植するという家兎の実験モデルを作成した。ある一定期間経過した後、移植肋軟骨を取り出し、どう変化したかを肉眼的、組織学的(光学顕微鏡・電子顕微鏡)に観察し考察した。家兎を肋軟骨膜を有する群と有さない群の2群に分け、おのおのの群で彎曲変形の程度にどういう差が生じるかを比較検討した。形態的な変化について、3ヶ月後のグループで肉眼的に若干の変化を認める個体があったが、その変化の評価方法に問題があり、データのばらつきが生じた。簡便で信頼性のある評価について、問題点を解決し、精度の高い評価方法を見出したい。P また家兎実験モデルの中で、6か月後、1年後に取り出すグループのサンプルのうち、約3割に移植肋軟骨の露出がみられ、長期経過群の実験モデルの作成が困難であることがわかった。感染によるものか、移植部である鼻背部の皮下ポケットの大きさの問題なのか、原因を追求し改善をはかりたい。 個体数を増やし、取り出した移植肋軟骨の組織を採取し、HE染色切片の光学顕微鏡による観察、および脱灰標本の組織学的考察も行っている。
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