現在においても有効な治療法のない脊髄の神経根引き抜き損傷に対して、再生治療の基礎研究を行った。ラット胎児の海馬より採取した神経幹細胞を脳脊髄液経由でラットの神経根および脊髄損傷部へ導入し、損傷部でのどのように分化するかを免疫組織化学的に調べた。結果、神経幹細胞は引き抜き損傷部位の表面へ接着し、侵入した。また多くの侵入した細胞はGFAPやS-100蛋白の免疫活性を示し、星状膠細胞への分化が示唆された。しかしながら、神経幹細胞が直接ニューロンへ分化する所見は本研究でのすべての引き抜き損傷モデルにおいて認められなかった。
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