研究概要 |
本研究の目的は中枢神経障害患者に有用な障害程度および神経学的予後予測マーカーの検索である.昨年は心肺停止蘇生後症例約50症例で検討し,神経学的予後不良例では有意に血清GFAP値の上昇を認めた.血清GFAPの特徴として,心肺停止蘇生後における神経学的予後不良例に対して特異度が高いことがあげられ,上昇例においてはほぼ神経学的予後不良と考えられた. 心肺停止蘇生後では近年,脳低温療法の有用性が報告されている.脳低温療法施行時の血清GFAPの推移に関しても検討を加えたが,脳低温療法施行時も血清GFAP値の上昇は神経学的予後不良を示し,予後予測に関しては脳低温治療の影響を受けないことが示唆された. 昨年の検討では,血清GFAPは中枢神経特異マーカーとして特異度の高い結果が得られた.他の報告では全身性炎症・ストレスマーカー(各種サイトカイン,プロカルシトニンなど)も同様に神経学的予後予測に有用とするものもみられる.本年は血清GFAP値の全身性炎症・ストレスマーカーとの比較や,心肺停止以外の中枢神経障害病態(頭部外傷など)においても同様に予後予測や中枢神経障害の診断に利用可能かどうかも,あわせて検討する予定である.
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