研究概要 |
平成19年度に心肺停止蘇生後での血清GFAP値の予後予測効果の検討をRESUSCITATION誌に投稿し, 2009. 4. 1に受理されている. 同論文結果からは心肺停止蘇生後において, 血清GFAPは従来の予後予測マーカーであるNSE(神経特異エノラーゼ), S-100B蛋白と同等の感度特異度を有し, NSE, S-100Bが脳低温療法で予後予測効果が修飾されるのに対してGFAPは影響を受けにくいことを述べている. 平成20年度は血清GFAPと他のマーカーとの比較, 心肺停止蘇生後と同様に脳障害を来す病態として頭部外傷例での検討を追加した.血清GFAPと炎症マーカーであるプロカルシトニン(PCT)を比較した結果, GFAPはPCTと比較して脳障害に対して感度では劣るが特異度は高いことが認められた. またGFAPとPCTを組み合わせることでより予後予測効果は高まることが予想された. 同内容は救急医学会で報告済, 現在, 国際誌に向けて投稿準備中である. 血清GFAPと炎症マーカーであるプロカルシトニン(PCT)を比較した結果, GFAPはPCTと比較して脳障害に対して感度では劣るが特異度は高いことが認められた. またGFAPとPCTを組み合わせることでより予後予測効果は高まることが予想された. 同内容は救急医学会で報告済, 現在, 国際誌に向けて投稿準備中である. 頭部外傷では従来マーカーであるNSE, S-100BとGFAPの比較を行った. GFAPはNSE, S-100Bよりも脳損傷に特異性なマーカーであることが認められた. 同内容な米国のCritical Care Congressに発表済であり, 現在国際誌に投稿中である. 今回の研究結果から血清GFAPは従来のNSE, S-100Bよりも優れた脳特異マーカーといえる. 心肺停止症例, 頭部外傷症例での前向き検討や他のマーカーとの組み合わせの検討で臨床での有用性が確立されれば, その臨床的意義は大きいと考えられた.
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