これまでのAeromonas属細菌に対する研究は、下痢症をこす溶血性物質(hemolysin)やプロテアーゼに関するものが多く、重症化する仕組みに関しては検討されていない。病原細菌は自身の生存と増殖のために様々な物質を産生、分泌しているが、そのひとつであるヒアルロニダーゼがAeromonas属細菌感染症の重症化に関与していると考え、生化学的な分離、精製と遺伝子配列の決定さらに動物モデルめ作製を行い重症化の機序を明らかにしたいと考えた。 クローニング: Copy control TM Fosmid Library Production Kitを用いてクローニングを行った。スクリーニング陽性株からgenomic DNAを抽出し、制限酵素で約40Kbに切断する。これをcopy control pCCIFOSベクターにライゲーションし、ファージに組み込む。このファージをホスト大腸菌にトランスフォームし、目的のDNAを含む大腸菌をスクリーニング培地を用いてピックアップする。 遺伝子配列の決定:クローニングして得られたFosmid Libraryを用いてヒアルロニダーセをコードする遺伝子配列を決定した。スクリーニング培地で陽性を示すホト大陽菌からクローンDNAを抽出し、目的の病原物質の遺伝子配列をランダムショットガン法を用いてDNAシークエンスを行った。 今年度の実験結果から、目的のヒアルロニダーゼ遺伝子は他の関連遺伝子とともに、genomic islandを形成し水平伝播したと考えられた。
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