研究概要 |
1、3週齢の雄マウスに対し、β-aminopropionitrile(BAPN)を飲み水に溶解し1g/kg/dayに調節して4週間投与した。7週齢に達したマウスにAngiotensin II (Ang II) 3mg/kg/dayをosmotic mini pumpを用いて、2日間持続皮下注投与した。これによりマウスに大動脈解離を発症させることが確認され、その発症率は100%であった。(AngII群) 2、Matrix Metalloproteinase(MMP)-9に注目し、このノックアウトマウスに同様の処置をおこなったところ発症率は10%と有意に低率であった。 3、AngII投与開始2日前からMMPのinhibitorであるONO-4817, 300mg/kg/dayを経管投与する群を作成した。これにより発症率は60%に有意に低下することが確認された。(Inhibitor群) 4、AngIIに替えNorepinephrine(NE)を持続皮下注する群を作成した。血圧を同程度まで上昇させた場合でも、急性大動脈解離の発症率は10%と低率であった。(NE群) 5、AngII群Inhibitor群、NE群でRT-PCRおよびgelatin zymographyを施行した。RT-PCRではInhibitor群、AngII群、NE群の順にRNAが強く発現がしていたが、gelatin zymographyではMMP-9の活性はAngII群、Inhibitor群、NE群の順で強く認められ、MMP-9が急性大動脈解離の発症の契機になっている可能性が示唆された。
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