研究概要 |
平成20年は破骨細胞からのカップリングファクターが骨芽細胞の分化にどのように作用するかに重点をおいて解析した。実験内容としては、骨形成作用が知られているPTHの間歇投与を行うことで骨芽細胞とその前駆細胞である前骨芽細胞を増加することを確認した。前骨芽細胞はRunx2/Cbfa-1陽性並びにALP陽性を示す成熟骨芽細胞以外の細胞として観察されたが、PTH投与によりこれらの細胞増殖(BrdUの取り込み)が増加していることが示された。一方で、骨芽細胞の骨基質合成能も亢進しており、多数のカルセイン標識を観察した。次に、破骨細胞からの共役因子の影響を排除する目的で、破骨細胞が存在しないc-fos-/-マウスにPTH投与を行うと、前骨芽細胞の増殖は亢進するが、骨芽細胞への分化および骨基質合成は一切認められなかった。そこで、破骨細胞から共役因子は前骨芽細胞の細胞増殖ではなく、骨芽細胞への分化過程に作用すると推測された。さらに、申請者らは免疫電顕によりephrin B2, EphB4の局在を検索したところ、PTH投与により前骨芽細胞のEphB4の発現が上昇していることを明らかにした。一方、破骨細胞の細胞膜にはephrin B2の局在が観察された。従って、PTH間歇投与による骨形成の過程において、骨芽細胞への分化については骨芽細胞活性化共役因子と考えられるephrin B2/EphB4の相互作用が重要な役割を演じると考えられた。
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