歯の発生は上皮間葉相互作用によって調節されているため、より詳細な観察を行うには由来の異なる2つの細胞をin vitroで同時に観察できる系が望まれる。本研究ではこれを実現するための基礎研究として歯胚由来の細胞の長期培養条件と未分化性を維持するためのシグナル分子の解析を行った。平成20年度では前年度に行ったDNAアレイの結果をふまえた解析とコラーゲンを用いた培養条件について引き続き検討を行った。 1. 歯の未分化領域においてFgf9の発現が上昇していたことから、Fgf9タンパクを加えた状態で歯胚由来の間葉細胞の培養を行ったところ細胞の増殖率が向上しな。 2. 切歯歯胚の未分化領域から分離した一次培養上皮細胞にFgf2とEGFタンパクを加えた状態で長期間培養した後、幹細胞マーカー遺伝子数種類の発現を確認した。 3. コラーゲンコートを行った培養皿によって歯胚由来の一次培養細胞の接着効率が上昇した結果、細胞の増殖速度が向上した。 4. コラーゲン上に上皮細胞を培養した結果、シート様に配列した上皮細胞が回収できた。また以上の研究過程において新たに特定のケモカインの発現が上昇していたため、現在これに注目しその機能について検討している。本研究課題で得られたin vitroでの歯の培養条件を使用した解析方法の確立についても今後の課題としたい。
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