本研究課題では、PKRの骨代謝調節機構を解明するために、転写因子STAT 1の発現及び機能に着目し解析を行った。前年度までに、石灰化を起こさないPKR変異細胞において見られるSTAT 1発現亢進は蛋白質レベルで調節されていること、またPKR変異細胞においてSTAT 1蛋白質のユビキチン化が起きないことが明らかとなっている。本年度は、PKRがSTAT 1蛋白質のユビキチン化を制御する機構を、STAT 1のユビキチンリガーゼであるSLIM(STAT-interacting LIM protein)に着目して解析し、以下の結果を得た。 1. SLIMの発現について 野生型とPKR変異型の骨芽細胞を5日間培養した後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いてSLIM mRNAの発現量を検出した。両群においてSLIM mRNAの発現量に差は無かった。 2. SLIMの細胞内局在について カバーガラスを入れたシャーレ上で、両細胞を野生型とPKR変異型の骨芽細胞を5日間培養した。培養5日後の細胞をホルマリンで固定し、メタノールによる透徹後、抗SLIM抗体を用いて免疫染色を行う。両細胞におけるSLIMの局在を蛍光顕微鏡下で観察した。SLIMは細胞骨格(F-actin)上に局在し、両細胞において差は無かった。
|