研究概要 |
BRAK/CXCL14はCXCケモカインの一つで、最初に乳腺と腎臓で発見された。のちに扁平上皮細胞、活性化B細胞、活性化単球を含む多くの正常細胞で発現が見られた。また、頭頚部由来の扁平上皮癌や子宮癌の組織では、発現が低下あるいは消失していることが報告されている。ヒトとマウスでアミノ酸配列の相同性が高いので、生体にとって必須の役割を果たしている可能性が高く、樹状細胞の活性化や、血管新生抑制作用があると報告されている。我々は、PTet-Onベクターを目的細胞株(口腔扁平上皮癌細胞株 : HSC-2, HSC-3 ; 子宮頚部癌細胞株 : HeLa)ヘトランスフェクトし、ホストとなる安定なクローン細胞株を作製した。新しく作製したTet-Onホスト細胞株内に、ハイグロマイシン選択性マーカーと共に目的遺伝子(BRAK)を組み込んだpTRE-Tightをコトランスフェクトし、両方の発現ベクターを含む二重安定細胞株を作製した。続いてのドキシサイクリン(Dox)処理を行い、Western blot analysisにより検討した結果、細胞株においてBRAKの発現は認められなかったことから、マウスへの移植実験には至らなかった。さらに我々は口腔扁平上皮癌細胞株を用いて、BRAKのメチル化解析を行い、細胞株にBRAKのメチル化が存在することを明らかにした。この結果より、Tet-On発現ベクターを用いた実験が計画通りに進まなかった理由として、細胞株にメチル化が存在していたことが考えられる。
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