研究課題
ATP-binding cassette(ABC)トランスポーターの視点から破骨細胞系譜の生命現象を解明するために、破骨細胞におけるABCトランスポーターの発現解析を行った。具体的には、マウス骨髄細胞から調製した破骨細胞よりtotal RNAを採取し、cDNAに変換した後にPCR(RT-PCR)を行い、発現解析を行った。48種類のABCトランスポーター遺伝子を対象にRT-PCRを行い、32種類のABCトランスポーターの発現が破骨細胞への分化に伴って上昇することを明らかにした。そして、32種類中7種類のABCトランスポーターの発現が、破骨細胞の発生に不可欠であるサイトカインRANKLのシグナル依存的に誘導されることを明らかにした。一方、破骨細胞に発現が認められたABCG2を対象として、平成19年度に引き続き、細胞内存在量の変化に関する解析を行った。その結果、アミノ酸変異を伴う一塩基多型バリアントABCG2(Q141K)とN結合型糖鎖付加を受けない変異体ABCG2(N596Q)に関して、細胞内存在量が野生型の約半分となることが見出された。この原因を追究した結果、これらの変異体がユビキチン-プロテアソーム分解系において速やかに分解を受けていることを明らかにした。これらは、ABCG2の細胞内存在量が遺伝子によって規定されている(平成19年度研究実績参照)ことを支持する結果であり、また、ABCG2の細胞内存在量がN結合型糖鎖付加によって規定されていることを示す新たな知見である。平成20年度は、翻訳後修飾がABCトランスポーターの時空間分布を制御する因子の一つであることを明らかにした。
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Pharmaceutical Research 26
ページ: 469-479
Advanced Drug Delivery Reviews 61
ページ: 66-72
http://www.ishikawa-lab.bio.titech.ac.jp/index.html