研究概要 |
ATP-binding cassette (ABC)トランスポーターの視点から破骨細胞系譜の生命現象を解明するために、破骨細胞におけるABCトランスポーターの発現解析を行った。そして、破骨細胞の発生に不可欠であるサイトカインRANKLのシグナル依存的に48種類中9種類のABCトランスポーターの発現が上昇し、4種類のABCトランスポーターの発現が低下することを定量PCR解析において明らかにした。これら13種類中6種類のABCトランスポーターのmRNA量は、破骨細胞の発生に伴って変化した。さらに、13種類中2種類のABCトランスポーターに関しては、当該ABCトランスポーターのタンパク質量が破骨細胞の発生に伴って変化することを明らかにした。これらの結果は、破骨細胞系譜の生命現象に影響を及ぼすABCトランスポーターが存在することを示唆する重要な知見である。 一方、本研究では、破骨細胞に発現が認められたABCG2を題材として、その時空間分布が一塩基多型と翻訳後修飾によって制御されることも明らかにしてきた(Nakagawa et al., Biochemical J., 2008 ; Nakagawa et al., FEBS J., 2009)。これらの研究成果は、国際学会(The FEBS-ABC2010-3rd FEBS Special Meeting on ATP-Bilding Cassette (ABC) Proteins : From Multidrug Resistance to Genetic Diseases)において高い評価を受けた(Special ABC2010 Poster Recognition Award受賞)。この評価は、申請者が推進する研究プロジェクトが当該分野において世界的な注目を集めていることを意味すると言える。
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