研究課題
前年からの継続研究の結果、ペリオスチン遺伝子欠損マウスに認められる細胞外マトリックス構造の乱れは、骨膜炎に類似した表現型を誘導していることが明らかとなった。この骨膜炎類似表現型は、ペリオスチン遺伝子欠損マウスの脛骨にしか認められないことから、この表現型はヒトにおけるスポーツ障害の一つである脛骨過労性骨膜炎に相同なものであると推察された。さらに、分子レベルでの解析を進めるため、ペリオスチンタンパク質と相互作用する分子の探索を行った。その結果、ペリオスチンにはこれまでに報告されていたフィブロネクチンタンパク質以外にも、新たにテネイシンタンパク質を含め、複数の相互作用分子があることが判明した。分子生物学的解析の結果、ペリオスチンはフィブロネクチンとテネイシンの両者に同時に結合し、フィブロネクチンとテネイシンの相互作用を補助するシャペロン様の活性を持つと予想された。さらに、テネイシンとペリオスチンの関与を精査するために、テネイシン遺伝子欠損マウスの解析を行ったところ、テネイシン遺伝子欠損マウスにおいても、ペリオスチン遺伝子欠損マウスで認められた脛骨過労性骨膜炎に類似した表現型が確認された。以上の結果は、ペリオスチン、フィブロネクチン、テネイシンの3者複合体がスポーツ障害の一種である脛骨過労性骨膜炎の予防に関与することを示唆している。
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