研究概要 |
「ヒト培養骨芽細胞の分化・増殖に対する炎症性サイトカインの新規な作用:IL-1βによるヒト骨芽細胞の増殖促進とVK_2の抑制機構」OSCALとIL-1βによる細胞増殖促進作用との関連性について検討したところ,γ-carboxylaseの阻害作用を示すvitamin K_2(VK_2)存在下ではIL-1βによる細胞増殖促進が抑制された。また,IL-1βによりGla-OSCAL産生は抑制され,この作用はVK_2により拮抗された.以上の知見よりヒト骨芽細胞においてOSCALのGla化の抑制がIL-1βの細胞増殖促進作用に関与している事が示唆された.現在これらの結果をまとめて,投稿準備中である.また,ヒト骨芽細胞の増殖に関する補足的研究として,マウスストローマ細胞を用いmammalian target of rapamycin(mTOR)とosteoprotegerin(OPG)産生との関連性について検討した.mTOR阻害剤であるRapamycinは細胞増殖およびアポトーシスに影響ない濃度においてOPG産生を促進させたが,RANKL産生には影響を及ぼさなかった.これらの知見よりOPG産生にはmTORの活性化が必要であることが示唆された.またマウス骨芽細胞様細胞を用い,NGF産生とNF-KBとの関連性について検討したところ,NF-κBの適度な核内移行の抑制はNGF産生を促進させる事が示唆された.これらの知見はヒト骨芽細胞における分化・増殖に関わる新たなターゲット因子の模索として重要であると考えている.
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