本院口腔乾燥症外来を受診したドライマウス患者を対象として、シェーグレン症候群(以下SS)患者にはステロイド洗浄を、非SS患者には生食洗浄を基本とし、これらにセビメリンの含嗽(1C/100ml溶液、1日3回、毎食後に1分間含嗽)や内服を併用して行った。非SS患者、SS患者のうち既存患者各30名ならびに新患各15名ずつを治療法の違いにより(A)洗浄療法単独群、(B)洗浄療法+セビメリン含嗽群、(C)洗浄療法+セビメリン内服群の3群に分類した。両患者群とも1)予測されるドライマウスの原因やSSのグレイド、2)サクソンテストによる唾液分泌量を元に、各群間で大きな偏りが出ないように、ランダムな選出を行った。 結果はSS患者同様、非SS患者においても、セビメリン含嗽による唾液分泌量の有意な改善を認めた。セビメリン内服群では消化器症状や多汗、頻尿などの副作用を比較的高頻度に認めたが、含嗽群ではそれらはほとんど認められなかった。サクソンテストによる唾液分泌量やVAS Scoreによる自覚症状の改善の程度は内服に比べてやや劣っていたが、副作用の程度を考慮すると、十分効果的な方法と考えられた。また、SS患者に比べ、非SS患者における改善の程度は大きく、これは唾液腺の器質的障害の有無に関係していると考えられた。また、非SS患者のドライマウスの原因による治療効果の相違については、放射線治療による唾液腺障害例を除いて大きな違いは認められなかった。同例については、SS重症例患者と同様、十分な治療効果を得ることができなかった。以上、セビメリンによる含嗽療法は口腔乾燥症治療において、副作用の発現を抑えた、有益な方法であると考えられる。これら研究過程で得られた成果の一部を日本歯科放射線学会、第50回関西・第46回九州合同地方会にて発表した。
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