研究概要 |
昨年度より引き続き実物大口腔咽頭模型を被写体としてビデオ嚥下造影検査シミュレーションを行った. 垂直位, 前方傾斜位模型では検査試料が正中を滑落したが, 頸部回旋位模型では回旋側を滑落した. また, 頸部回旋位模型では液状造影剤と粘性を増した造影剤の滑落経路が異なった. これにより, 制御を失った液体は頸部回旋側を滑落する可能性があること, 液体に粘性を与えることは滑落経路の制御に効果がある可能性が示唆された. 液状造影剤と比較して, 粘性を付与することで垂直位, 前方傾斜位, 頸部回旋位模型上の滑落速度が1/10程度に減じられた. また, 前方傾斜位模型では他の二種類の模型に較べて液体状の試料の滑落速度が遅かった. このため, 液体に粘性を付与すること, 前方傾斜位は制御を失った飲食物の移動速度を減じる可能性が示唆された. 物性が異なる造影剤加模擬食品は模型上の滑落速度が異なっていた. クリーム状の試料は滑落しなかった. また, 造影剤加模擬食品の滑落速度は液体造影剤より遅く, 粘性を付与した造影剤より速かった. 上記により得られた成果の一部を「頸部回旋と飲食物の物性が嚥下動態に与える影響-嚥下障害患者と健常人の比較-」と題して第14回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会で, 同じく「頸部回旋と飲食物の物性が健常成人の嚥下動態に与える影響」と題して日本歯科放射線学会第49回学術大会において口頭発表を行った. また, 研究内容を「飲食物のテクスチャおよび頸部回旋が舌背斜面を滑落する食塊に与える影響」として日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌に投稿中.
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