研究課題
若手研究(B)
Fibroblast growth factor(Fgf) 18はFgf8ファミリーに属する成長因子であり、骨・軟骨形成に重要な働きを担っていると考えられている。Fgf18は歯髄において発現が高いことがラット歯髄組織を用いたDNAアレイにより明らかになった。しかし、Fgf18が歯髄組織においてどのような機能を担っているのかはいまだ不明である。今回、歯髄組織の発生に伴ってFgf18がどのような発現様態をとりうるのか、Fgf18ノックアウトマウスにおいてはどのようなフェノタイプを示すのかについて検討した。マウス歯胚におけるFgf18のmRNA発現を、Fgf18特異的なDIGラベルRNAプローブを用いたin situhybridization法にて検討したところ、蕾状期には発現はほとんど認められなかったが、帽状期、鐘状期には将来歯髄に分化する組織である歯乳頭ならびにエナメル質形成に関与する内エナメル上皮に発現が認められた。同部位においては、Fgf18のリセプターであるFibroblast growth factor receptor (Fgfr)2cおよび3cも発現していることが確認され、この部でFgf18を介したシグナルが働いている可能性が示唆された。また、培養歯髄細胞においてもFgf18発現がRT-PCR法により確認された。さらにFgf18により歯髄細胞の増殖が促進された。Fgf18の歯髄細胞増殖促進効果はFgf2と同等であった。一方、Fgf18添加によりアルカリフォスファターゼ等の硬組織形成マーカーの発現は歯髄細胞において抑制される傾向にあった。以上の結果より、Fgf18は歯髄細胞の増殖に特に強く関与し、歯髄組織のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
すべて 2010 2009 2008 2007
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件)
Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology, Oral Radiology, and Endodontology 103
ページ: 707-711