研究概要 |
平成19年度の研究実施計画に基づいて、ラット歯髄の修復象牙質形成過程における発現遺伝子について、マイクロアレイ法により解析を行った。 1. 9週齢雄性Wistar系ラットの上顎第一臼歯に露髄しないように窩洞形成を行い、グラスアイオノマーセメントを充填し、形成直後、1日後あるいは3日後に被験歯を抜去して歯根膜ならびにセメント質の除去を行った。被験歯をホモジナイズした後、Rneasy Lipid Tissue Mini Kitを用いてラット歯髄腔細胞のTotal RNAを抽出し、得られたTotal RNAの純度と濃度を2100Bioanalyzerにて調べたところ、マイクロアレイ解析に必要な品質のRNAが獲得できたことが確認された。 実験1により得られたTotal RNAに対して、GeneChip遺伝子発現解析アレイ(Rat Genoma 230 2.0, Affymetrix)を用いてマイクロアレイを行い、窩洞形成を行った実験群と、行っていないコントロール群の間で発現変化が認められる遺伝子について比較検討を行った。その結果、窩洞形成直後においては、実験群では、コントロール群に比べて308遺伝子の発現上昇と203遺伝子の発現低下が認められた。また1および3日後では、それぞれ329, 337遺伝子の発現上昇、123, 169遺伝子の発現低下が認められ、発現上昇が認められた遺伝子の中には、炎症反応や細胞分化、細胞発生などに関与するものが含まれていた。さらに、上記の3期間において、59遺伝子の継続的な発現上昇と、10遺伝子の継続的な発現低下が認められ、修復象牙質形成に必須となる分子の候補が得られた。
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