研究概要 |
平成20年度の研究実施計画に基づいて、ラットの修復象牙質形成過程における歯髄での発現遺伝子について、マイクロアレイ法による解析を行った後、リアルタイムPCR法にてマイクロアレイの結果の検証を行った。 1. 9週齢雄性Wisar系ラットの上顎第一臼歯に露髄しないように窩洞形成を行い、グラスアイオノマーを充填した。窩洞形成後、7、14日目に被験歯を抜去して、付着した歯周組織を除去後、被験歯をホモジナイズし、RNeasy Lipid Tissue Mini Kitを用いて、歯髄腔内の細胞よりTotal RNAを抽出した。得られたRNAに対して、GeneChip遺伝子発現解析アレイ(Rat Genome 230 2.0, Affymetrix)を用いてマイクロアレイ解析を行い、窩洞形成を行った実験群と、行っていないコントロール群の間で発現変化が認められる遺伝子について比較検討を行った。その結果、窩洞形成後7日目において、実験群では、コントロール群に比べて130遺伝子の発現上昇と289遺伝子の発現低下が認められた。また14日目では、299遺伝子の発現上昇と237遺伝子の発現低下が認められた。 2. マイクロアレイにおいて、窩洞形成後より継続的な発現上昇が認められた遺伝子について、その結果をリアルタイムPCR法にて検証を行った。その結果、マイクロアレイの結果とほぼ同傾向の結果が得られたが、その中でも、創傷治癒に関連が深いと報告のある、Matrix Mettalopeptidase (MMP)-3、MMP-13、Tissue Inhibitor of Mettalopeptidase-1(TIMP-1)のMMPファミリー3分子は、窩洞形成後に顕著な発現上昇を示し、修復象牙質形成に関与している可能性が示唆された。
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