研究概要 |
平成19年度科学研究課題である損傷細胞の膜修復機構研究を遂行するにあたり、口腔組織における原形質膜破壊と修復治癒機構の解明を研究最終目的とする。19年度において本研究一部である歯周組織おもに歯肉と舌筋におけるブラッシング後の経過観察結果を、Journal of dental research86(8),2007にて報告した。試料は10週齢ラットを使用し麻酔後37℃FD_x(fluoresceinlabeled,lysine-fixable dextran)溶液静注し、上顎中切歯間歯肉と舌を電動歯ブラシで2分間ブラッシングしね15分と3時間後にそれぞれ4%Paraformaldehyde・PBS溶液にて還流固定を施した。固定後、上顎中切歯間歯肉と舌組織を摘出し、凍結切片を作成後、蛍光顕微鏡にて損傷した細胞の観察を行なった。また試料の一部はCfos抗体にて染色を施し損傷細胞の定量測定を行った。なお対照も全て同条件下において試料作成後、同様観察を行なった。その結果、ブラッシング後15分3時間後の歯肉ならびに舌筋組織において受傷後、死滅せず背生き残った損傷細胞の存在が認められた。 この結果に基づき歯髄細胞にて機械的損傷を加えた後の損傷状態と修復過程の観察を行なう。また歯髄の形成過程すなわち初期発生段階における歯髄内ならびに周囲への血管係の分布状態を明らかにすることは、歯髄細胞の再生研究領域において極めて重要な課題であり、この領域においては末だに詳細が明らかにされていない。したがって19年度はマウス胎仔(13.5w〜15.5w)を使用して歯胚形成初期の神経ならびに血管の分布領域についての観察を目的とした。胎生13.5日から15.5日までのマウス胎仔を4%パラホルムアルデヒド溶液にて固定後、通法に従いパラフィン切片を作成した。試料は賦活処理後、CD31抗体にて免疫染色後、蛍光ならびに実顕微鏡下での観察を行なった。
|