研究概要 |
損傷歯髄細胞の膜修復機構研究を遂行するにあたり、口腔組織における原形質膜破壊と修復治癒機構の解明を目的とし研究を行なった。19年度において本研究の一部である歯周組織, おもに歯肉と舌筋におけるブラッシング後の経過観察結果を、Journal of dental research86(8) : 769-774, 2007にて報告した。この結果に基づき, 損傷歯髄細胞における損傷状態と修復過程の観察を行なった。10週齢以上のマウス下顎中切歯にエアタービンで露髄する程度の機械的損傷を加え数分後, 数時間後に4%パラホルムアルデヒド溶液にて還流固定し, 歯牙を周囲組織と共に摘出後, EDTA溶液にて脱灰し, 10μパラフィン切片を作成した。切片は損傷細胞を同定するためC-fos抗体(2%bovine seum albuminにて1:100希釈)にて染色後, 蛍光顕微鏡下で観察を行った。同様に無損傷対照群として同個体下顎中切歯歯髄細胞切片も同条件下で染色後, 観察を行った。その結果12週ラット歯牙においてタービン損傷後15分, 30分後の歯牙切片においてC-fos抗体に濃染した損傷歯髄細胞が明瞭に認められた。また歯髄の形成過程すなわち初期発生段階における歯髄内ならびに周囲への血管系の分布状態を明らかにすることは、歯髄細胞の再生研究領域において極めて重要な課題であり、この領域においては未だに詳細が明らかにされていない。今回マウス胎仔(13.5-15.5日)を使用して歯胚形成初期の血管の分布領域についての観察を行なった。胎生13.5日から15.5日までのマウス胎仔を4%パラホルムアルデヒド溶液にて数日間固定後、通法に従いパラフィン切片を作成した。試料は賦活処理後、CD31(PCAM)抗体にて免疫染色後、蛍光ならびに実体顕微鏡下での観察を行なっており, 研究は継続中である。
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