研究概要 |
今年度はin vitro研究の予備実験として各細胞(上皮細胞、線維芽細胞、骨芽細胞など)に対するレーザーの至適条件を得る実験に平行して昨年度に引き続き、in vivoでの検索として、歯質を介した半導体レーザーおよび炭酸ガス(CO2)レーザー照射後のラット歯髄細胞における組織学的観察および分子生物学的検索を行なった。今回設定した条件(エネルギー密度203.84J/cm2)では、髄角の一部の象牙芽細胞に配列の乱れや軽度の空胞変性が見られるものの歯髄には明らかな炎症性変化は見られなかった。しかしながら、HSP-70やVEGFのmRNAの発現の上昇が認められた。また、炭酸ガス(CO2)レーザーに比較して半導体レーザーの方が組織への侵襲が低いことが明らかとなった。これらの結果は、Molecular biological changes of rat pulp cells after laser irradiationと題して、85th General Session & Exhibition of the IADR, New Orleans, USAで発表した。また、歯質を介した炭酸ガス(CO2)レーザー照射後の歯髄組織の反応については、TNF-α、IL-1のmRNAの発現および上昇が観察され、炭酸ガス(CO2)レーザーの刺激は歯髄に影響がおよび、炎症性サイトカインの発現を惹起することが明らかとなった。これらの結果は臨床的には象牙質知覚過敏症へのレーザーの作用機序の解明の一助となると考えられ、Pulp response after CO_2 laser irradiation to rat exposed dentin.と題し、86th General Session & Exhibition of the IADR, Toronto, Canadaで発表し、Laser Methods In Chemistry, Biology, And Medicineに投稿予定である。
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