誤嚥性肺炎は高齢者医療においては非常に重要な疾病である。簡易かつ効果的なインフェクションコントロール法の確立が求められており、我々は誤嚥性肺炎に対してプロバイオティクスを応用する事を目的として実験を行った。 5-10週齢のオスBalb/cマウスを用い、従来の研究で示されている誤嚥性肺炎モデルを応用した。肺炎起因菌であるPgとCandida alibicans、乳酸菌のLactobacillus caseiを使用した。肺炎起因菌はカニューレを用いて下気道へ直接接種を行った。肺炎起因菌の接種数については、2週間後の生存率が50%であった10^5CFU/30μlスキムミルク(1%)-PBSと決定した。また、この過程において死亡が確認されたマウスに関しては、肺組織内における膿瘍形成が認められ、肺炎が死因であることが考察された。術後一週間でマウス肺を摘出し、誤嚥性肺炎群、乳酸菌投与群、併用群、コントロール群(各5匹)に分けた。肺組織のtotal RNAを抽出してcDNAを作製し、サンプル中の遺伝子発現を定量的に解析した。TNF-α、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-8、KCに関して検討し、炎症性サイトカインの発現量が誤嚥性肺炎群において高いことが示された。その他の群においては著しい上昇は認められなかった。 現在、これらの局在に関して組織学的に検討中である。本研究の結果は誤嚥性肺炎に苦しむ要介護者に対して非常に多くの利益をもたらし、歯科医学の発展に大きく貢献するものと予想される。
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